世界の半分が眠り、世界の半分が動いている。
そんな世界のなかで俺は丁度眠りにつく側の世界にいた。
でも、眠れない。
だって、眠ったらまた殺しにくる。
あいつが俺が俺を殺さないように、殺しにくる。
俺が、俺が殺したもののようなあいつが。
俺のせいで死んでしまったあいつが。
俺のせいで自らを殺したあいつが。
俺の夢の中で、
俺が死のうとしてる時に俺のそばにやってきて微笑むんだ!
優しく、優しく微笑むんだ!!
そしてナイフを持つ俺の手を自らの手で包んで、そっと首に近づけてくるんだ!!!
そんな夢を繰り返し見る。
だから、眠れない。
だってあいつは言うんだ。
微笑んで言うんだ。
俺の首にナイフを近づけながら、恐怖に染まった眼であいつを見る俺を見ながら言うんだ。
「だって、」
「ピリオドを打つ手が震えていたものですから」
後追いする勇気がない弱虫さんと、
弱虫さんを助けに来てあげる菊様。