気がつかなかった。
どうしても生きていると目先の事にしか頭がいかなくなる。
心だってそうなのだ。
特に大きな想いを自分の心に抱えていると、
どうしてもそればかりに心がいってします。
そして段々自己本位になっていってしまうのだ。
だから、
あの子の気持ちにも気がつかなったのだ。
どうしてもっと早く気がつかなかったのだろう。
さらに言えば、あの子は隠し事が上手いのでなかなか周りは気がつかない。
自分は、あの子の隠した事に気がついてあげられる数少ない一人だったのに。
しかもあの子は自分からは絶対に言わない。
自分から想いを絶対に口にはしない。
そうやって、
ため込んでいくのだ。
「どうしたんですか、耀さん?」
「いや………」
そして、
きっとこの子は苦しんでいる。
苦しんで苦しんで、
きっと辛い思いをしている。
それを救ってやれるのは、
自分だけなのだ。
「菊、ちょっといいあるか」
「はい? なんでしょうか?」
さぁ、
まずは自分の気持ちを打ち明けよう。
この子は一体、
どんな顔をするだろうか…………。
その手を掴む
にーにも菊さんのこと好きでした、的な。
『棘を掴む』の続編で書いたのに、
あまりリンクさせた感がないのは管理人の文才不足です。